認知症克服

認知症(痴呆)は、いろいろな原因で脳の働きが悪くなったために物事を覚えたり判断したりする働きに障害が起こっている状態をいいます。脳の細胞が壊れ萎縮していくため、症状としては

・新しい情報を記憶できない
・時間や場所の感覚が不確かになる
・理解力や判断力が低下する
・計画を立てたり、物事を順序だてて実行できない

などが挙げられます。認知症を年のせいにせず、早期発見することによって治ったり、症状を大きく遅らせることが可能です。

■咬んで認知症を克服する

高齢期において咬むことは認知症の克服につながります。
その根拠として

1. 咬み合わせが悪くなると、新しい記憶形成を担っている海馬の神経活動が減衰し、学習・記憶が悪くなる。
2. 咬むことによって、海馬の神経活動が増強され、記憶力が向上する。
3. 咬むことによって、大脳の前頭前野の神経活動が増強される。
4. その結果、脳の人間たるゆえんの知・情・意の働きが向上する。

 

ということが様々な実験から分かってきました。
実際に咬み合わせの適正化(義歯調整)で認知症状が改善された例がある上、その裏づけとしてマウスによる実験で証明されてます。

■マウスによる認知症実験

この実験は早期老化性マウス(人間で65~70歳相当)で、上あごの歯を削ったものと自然のままのマウスを用意し、処置10日経過後から学習テストを開始しました。実験は「モリス水迷路学習」というポピュラーな実験方式でマウスの学習能力(記憶力)がどのように変化するかを調べます。

実験方法

●プールの周囲には指標となる机、棚、ラックなどを定位置に配置する。
●マウスは1日4回15分間隔で異なる位置からプールに入りプラットフォームを探す。
●90秒経ってもプラットフォームを探せないマウスはプラットフォームに誘導する。

 

◆ 実験1日目 ◆

遊泳パターンは大きく2つに分けられます。
◆画像をクリックすると実際の映像がご覧になれます。

咬み合わせの悪いマウス
(上あごの歯を削合したマウス)

健康なマウス

動画を表示 円を描くタイプ 咬み合わせの悪いマウス
動画を表示 無処置のタイプ

 

◆ 実験7日目 ◆

咬み合わせの悪いマウス
(上あごの歯を削合したマウス)

健康なマウス

動画を表示 円を描くタイプ 咬み合わせの悪いマウス
動画を表示 無処置のタイプ

 

●実験の解説●

実験開始1日目のマウスは咬み合わせの悪いマウスはプールの壁に沿うように円を描き同じところを泳ぎ続け90秒経過したため、手動でプラットフォームに誘導させました。
一方、健康なマウスは広域に渡り泳ぎ回った末、プラットフォームを自力で発見しました。
実験7日目になると健康なマウスはプラットフォームの位置を学習したため一直線にプラットフォームに向かいました。しかし、咬み合わせの悪いマウスは若干迷いながらプラットフォームに到着するという結果となりました。
これは咬み合わせの悪いマウスの学習能力が減退したことを示しています。

 

モリス水迷路学習能力が低下したのは咀嚼機能の減退が原因と考えられます。

実際に人間でガムチューイング(ガムを咬むこと)を行った場合と行わなかった場合、特に高齢者においては、咬むことにより大脳連合野が活性化され、次いで海馬の神経活動が活発になって記憶力が向上することが確認されました。
咬みあわせと咬むことは豊かで幸せな人生を送っていくことにおいて非常に重要なことであることがわかります。